ER

続いて電話を折り返してくれた夫に事の顛末を話すと

彼は慌てて職場から戻って来ました。

 

夫の運転する車に乗り込み

道中で息子を友人に託し

20分くらいでERに到着。

 

私たち家族の入っている保険がカバーする医療機関

隣の街まで行かないと緊急医療は受けられないのです。

 

ERの建物入り口では警備員の所持品検査を受けて

金属探知機を通ります。

 

ここはアメリカ。

 

こういったセキュリティーはディズニーランドや

スポーツスタジアムなどそこかしこにあります。

ですが、ERにもあるとは思わなんだ。

 

受付で診察券を見せてなぜ来たのかを伝えると

 

「呼ぶまで待っててね」

 

ロビーには他に2、3人の人が待っていました。

 

一度呼ばれて体重、血圧、体温などを計られ

また待った。

 

胃がムカムカする。

水も飲めない。

早くベッドに横にならせて。

 

そこでまた便意をもよおした私は

「一緒に行こうか?」と問う夫に

「すぐそこだし大丈夫だよ」と言ってトイレへ向かいました。

 

どうにかトイレに腰掛けたら

また出ました黒い便が。

 

ERに来る前に電話で話したナースから聞いて、

これは便に血が混じっているせいなんだということを知りました。

生臭いと感じたのは血の臭い。

ネットで見たらタール便というらしい。

 

それが出るとまた吐き気が続いてやって来ました。

便器に座ったまま、先ほど受付で手渡されていた

嘔吐袋に嘔吐。

 

どうにか落ち着いて手を洗った私は

内容物の入った嘔吐袋を握りしめてトイレを出ました。

 

夫の方に向かって歩き出しましたが、

目の前がチカチカしています。

 

普段から貧血気味なので

いつもの立ちくらみだと思い、

しばしチカチカが落ち着くまで壁にもたれかかりました。

少し経って頭がしゃんとした気がしたので
壁伝いにロビーを歩き出して
そしてちょうど受付の目の前に来た時に
気を失ってぶっ倒れてしまったのです。