告知

正午前には

夫が息子と一緒に病室にやって来ました。

 

息子は嬉しそうにベッドに駆け寄り

先日のSleepoverの話を

もう一度聞かせてくれて。

そしてベッド脇のテーブルにのった

ジュースパックに気が付き、

「僕、これ飲んでもいい?」

 

ほとんど減っていないサラダや

手付かずのゼリーも

好きなの食べていいよ、

と言うとベッドに登り私の脇に座って

ディズニーチャンネルを観ながら食べ始めました。

 

息子が生まれてから5年間、

数時間以上離れていたことはありませんでした。

 

今回は2日離れていただけだけど、

なんなんだこの可愛い生き物は!!

という愛おしさが込み上げて。

にこにこと息子を眺めている私に

「今日は調子どう?」

と夫が聞いてきました。

 

「ん、一昨日、昨日に比べたら随分いいよ

ご飯はまだあまり食べられないけど。

夕食はこんなに出たの、すごくない?」

と写真を見せたりしていたんですが。

まだ病院の寝巻きを着ているけど、

夫と息子がいるだけですっかり

リラックスしていました。

 

そこに昨日の胃カメラをしてくれたドクターが

病室に現れ、

彼も私に調子はどうかと尋ねました。

そして夫と私に向かいおもむろに、

「先日のBiopsy(生検)の結果が出ました。

がん細胞が発見されました」

  

 

 

つい頭の中で「ガーン。。。」

と思った私は別に関西人ではないんですが、

こんな時ベタなダジャレを考えてしまうのは

ショックな気持ちを和らげるための

防衛本能か何かでしょうか。

実際、私はこんな検査結果を

1ミリも予想していなかったわけでして。

 

しかし夫はといえば、

先日ドクターからBiopsy(生検)

という言葉を聞いた時点で

多少の覚悟をしていたらしく。

私を不安にしても仕方がないと

何も言わなかったけれど。

 

ドクターは淡々と、

しかし思慮深い表情で

今後の流れを説明していきました。

 

私は呆然として話の3分の1も聞こえていなかったけれど。